病態
骨折とは、外力が加わることによって骨が完全に、または部分的に連続性が断たれた状態をいいます。骨折には様々な分類方法があり、原因別に分類すると①外傷性骨折、②病的骨折、③疲労骨折に分けられます。
①外傷性骨折
正常な骨に、その強度を超えた強い外力が加わって起こる骨折です。最も多い典型的な骨折のタイプです。転倒や交通事故で起こることが多く、大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫骨折の一部もこちらに該当します。
②病的骨折
骨に何らかの基礎疾患があり、わずかな外力により骨折に至るものをいいます。骨粗鬆(しょう)症や、骨軟化症、くる病などの基礎疾患が原因で起こる骨折です。
③疲労骨折
骨の同一部位に、通常では骨折を起こさないような軽度で微小な外力が何度も繰り返し加わった結果生じる骨折をいいます。長距離を歩いたり、走ったりすることによって生じる骨折です。
その他にもいくつかの分類方法がありますが、ここでは、当院の患者様で特に多い骨折、高齢者様に多い骨折について説明します。
高齢者に多い骨折としては、大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折、上腕骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)などが挙げられます。
大腿骨頸部骨折:
大腿骨頸部とは、大腿骨(太ももの骨)の中でも股関節の近くの曲がった部分で、人の体重がかかっている部分です。この曲がった大腿骨頸部は転倒や転落などの際、外力が集中しやすいため、骨折を起こしやすい部位です。さらに骨粗鬆症などにより骨が脆くなった高齢者では、非常に発症頻度の高い骨折で、高齢者の寝たきりや運動不足、歩行不能の原因となります。
骨粗鬆症は女性に多い疾患のため、大腿骨頸部骨折も男性より女性の方が圧倒的に多く受傷します。
高齢になるにつれて運動能力が低下したり、視力障害を起こしやすくなり、これらが転倒による大腿骨頸部骨折の原因となります。
脊椎圧迫骨折:
圧迫骨折は背骨に強い圧がかかり、背骨が圧で押しつぶされることで骨折を起こすものをいいます。骨粗鬆症などの基礎疾患により骨が脆い状態であると、発症の可能性が上がります。転倒により尻もちをついた時、圧が背骨にかかって脆くなった骨が圧迫されて骨折を起こすという原因が多いです。寝た状態から起き上がるときや、座った状態から立ち上がる時に、強い痛みを生じますが、一度立ってしまうと歩行も痛みなく行えてしまうこともあるので注意が必要です。
上腕骨近位部骨折:
上腕骨近位部とは、腕の骨の中でも肩に近い部分です。上腕骨近位部骨折は、骨粗鬆症が原因で発生することが多く、転倒で肩を打ったり手や肘をついたりした時、よろめいてドアにぶつかるなど比較的小さな外力が原因で起きることが多いです。この骨折は肩関節の動きを障害するので、その後のリハビリテーションが重要となります。
橈骨遠位端骨折(コーレス骨折):
橈骨遠位端とは、腕の骨の中でも手首に近い部分です。橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)は転倒時に手をついた時に生じる骨折です。骨粗鬆症が原因で受傷することが多く、橈骨遠位端の近くには正中神経という神経が通っていますが、骨折の際にこの正中神経を損傷することがあります。この骨折は手首の動きを障害するので、その後のリハビリテーションが重要となります。
主な症状について
疼痛・・・
骨折直後から患部の激しい痛みが起こります。骨折部を圧迫した時の痛みがみられたり、骨折部へ長軸方向に圧を加えると遠く離れている骨折部でも痛みを生じたりします。
腫脹および内出血・・・
骨折により内出血を起こし、それとともに腫れてきます。打撲をしたときでも腫れたり皮下出血は起こりますが、骨折を伴った場合にはより酷い症状となります。
変形・・・
骨折の結果、骨の正常な並び(アライメント)が破綻して変形や転移がみられます。また、内出血による腫れが原因で変形することがあります。
異常な可動域・・・
骨折により、動くはずのない部位で異常な可動性も持つことがあります。このとき、骨折片や断端が擦れて異常なゴリゴリというような感覚や音(軋轢音)を触知したり聞いたりします。
機能障害・・・
骨折によって骨の本来果たしていた、体を支えたり関節をスムーズに動かしたりする機能が失われてしまいます。この状態が長期間続くと、関節拘縮や筋力の低下などにも繋がるので注意が必要です。
骨折による日常生活のリスクや障害
筋力低下
…骨折により運動機会が減ると、徐々に筋力が低下して筋肉が痩せ細っていきます。歩行、起立、移乗、寝返りなどができなくなると介助量も増えていきます。
関節拘縮
…骨折により運動機会が少なくなり、関節を動かす機会が減ると、筋肉が硬くなり関節拘縮ができやすくなります。
歩行困難
…筋力低下や関節拘縮の影響で、歩行は難しく杖や車イスが必要となります。長時間の座位姿勢では褥瘡のリスクがあるため注意が必要となります。
寝たきり
…転倒、関節拘縮により、運動機会や運動量が減ると、筋力の低下が進み、寝たきりになってしまう可能性があります。
褥瘡(床ずれ)
…寝たきり状態や車椅子生活をきっかけに、同じ部位への圧迫が続き血流が滞ってしまうと、皮膚の病変(褥瘡)が生じる可能性があります。お尻(特に仙骨部)や体の背面、踵(かかと)などに好発し、ひどくなると潰瘍や細菌感染を起こす可能性があります。
認知症
…活動量の低下や、人との会話の減少などで脳への刺激が減り、脳の働きが低下すると、認知症が進行する可能性があるといわれています。
骨折に対するリハビリの方法、効果
骨折の方にリハビリを実施することで、認知症、筋力の低下、間接拘縮、寝たきり(褥瘡)を予防します。骨折のリハビリは早期に始め、継続することで運動機能の低下を最小限に防ぐことができます。関節を動かしたり、筋力の低下を防ぐことで、転倒や関節の拘縮、寝たきり(褥瘡)になることを予防できます。さらに、リハビリとして運動機能を高めることで、再び転倒することを避けたり、日常生活動作の獲得や維持をすることが可能です。
骨折に対するマッサージ(鍼)の方法、効果
骨折の方にマッサージを実施することで、硬くなった筋肉をほぐし、関節拘縮予防や寝たきり予防が期待できます。関節が動きやすくなることで運動機能向上や歩行機能向上による転倒予防が期待できます。またマッサージにより、血流の改善により褥瘡予防が可能です。
こうして、無理なく運動や歩行訓練など行っていくことで、日常生活の質の向上を目指していきます。
骨折の方の対応で当院が気を付けていること
骨折後の寝たきりや認知症、拘縮や筋力低下などを施術により改善を図ることができます。
骨折の場合、上肢の骨折であれば手を口まで持っていけるか、髪の手入れができるかなどを目標として行い、下肢の骨折であれば安定した歩行の獲得を目標に行います。特に下肢骨折の場合、普通に歩いていた人は杖が必要になったり、杖を使用していた人は車イスが必要になったりと、歩行能力は1段階下がってしまうものなので、運動能力を維持しつつもご本人様の心のケアも行い、日常生活の質の向上を目指します。
「骨折」に困ったらリーフ訪問治療院へ
リーフ訪問治療院では、積極的に骨折に対するリハビリ、鍼灸マッサージを行っております。岡崎市、安城市、幸田町エリアでの骨折の患者様は是非一度ご連絡ください。ご自宅や施設へ訪問し、丁寧な対応を提供いたします。
さらに、リーフ訪問治療院ではご高齢者様や障害がある方で、通院が困難な方に対して医療保険を用いた施術を行ってまいります。是非お気軽にご連絡ください。